「彼はこうなることを予言していた」と言われたい。
こんにちは、インターネット文化人類学者のセブ山です。
今日は「セブ山は未来を予言していた」という話を自分で書きます。
まずは、こちらの記事をご確認ください。
2015年の夏に僕が描いた記事です。
簡単に説明すると、「ガリガリ君にマヨネーズをかけたらおいしいよ!」という中身が空っぽのウソ情報を多くの方に協力してもらい、人工的にバズらせたら、一体何が起こるのかを実験した記事です。
実験結果はリンク先でご確認いただくとして、結論としましては、人工的にバズらせたところで、中身が伴っていなかったら無意味だよと締め括っています。
そんなことはわかりきったことですが、2017年現在、そんな当たり前のことが見えていないサイトがインターネット上には数多く存在します。
わかりやすい例が、「WELQ(ウェルク)」の一件でしょう。
根拠のないガセ医療情報ばかり載せていたWebメディア「WELQ(ウェルク)」が激しく炎上したのは、まだ記憶に新しいはず。
このサイトは、「病名+治し方」で検索してやってくる人たち(本当にその病気で悩んでいる人たち)の検索流入を狙って運営されていました。
しかし、いちいちその病気と治し方を調べて書いていたら時間がかかるので、あちこちの別サイトから記事をパクってきたり、医療的根拠に基づかないテキトーな情報ばかりを載せていました。
まさに、中身が空っぽのウソ情報(根拠のない医学情報)を、たくさん並べていたというわけです。
身体や心の病気で悩んでいる人たちは後を絶ちません。しかし、検索でやってきた人たちが知りたい情報はそこにはありません。
でも、悪質サイトにとってはそんなことどうでもいいんです。欲しいのは、PV数だけだから。
その行為がどんどんエスカレートしていき、挙句の果てには禁断の一手である「死にたい」の検索流入にまで手を出してしまうわけですが、もちろん、そこには死にたいと検索するまで追いつめられた人を救う記事はなく、あるのはアフィリエイトだけ。
「数字が稼げるなら何でもいい」という考えの成れの果てですね。
そんな「中身が空っぽのウソ情報でもいいから、とにかく数字を稼ぎたい」ということについて、2015年の僕はこう書いています。
オウンドメディアが乱立する今の時代、この「バズ」というものは、どこのサイトも喉から手が出るほど欲しがるようになりました。
たくさんバズればバズるほど、サイト自体の閲覧数も伸びて、サイトの価値が上がったり、広告収入が入ってきたりします。
最終的にそのサイトの運営元がもうかるわけですから、そりゃ、みんな、バズを欲しがりますよね。
もちろん、それは決して悪いことではなく、むしろ、さまざまなサイトがしのぎを削り合えば、必然的にウェブコンテンツの質は上昇していくことになるので、喜ばしいことです。
しかし、目的が「有益な情報を届ける」「良質なコンテンツを発信する」というところから「とにかくバズらせたい」「なんでもいいからバズった者勝ち」といった本末転倒な方向にシフトしていったらどうなるでしょうか?
そんな社会が行きつく先は「中身が空っぽのウソ情報でもいいからバズらせたい」と人々が願う最悪のデストピアなのではないでしょうか……?
引用元:中身が空っぽのウソ情報を人工的にバズらせたら何が起こるのか?
どうですか?
めっちゃ予言してないですか?
まさに今のインターネットを現状を言い当ててないですか?
もっと「彼はこうなることを予言していた!」って言われるべきだと思いませんか?
「大炎上! セブ山は未来人だった!?」という釣りタイトルのニュース動画をYouTube業者に作られてもおかしくないレベル。
「お金がなくて凍える母娘…その時、ホームレスのセブ山が放った一言に号泣」いう釣りタイトルの広告がFacebookのタイムラインに流れてもおかしくないレベル。
とにかく、何が言いたいのかといいますと「気付けばいつしか僕たちはそんなディストピアに立っていましたね」というわけです。
今はすでにWELQは閉鎖され、似たようなことをおこなっていたWebサイトは軒並み更新を停止しています。
しかし、「バズったら何でもいい」という考え方を見直さない限り、第2、第3の悪質サイトはまた現われるでしょう。
…と僕がいくら警鐘を鳴らしたところで、どうせ無駄なんですけどね。だって、記事をパクったり、テキトーな記事を書いている方がラクだから。
まだまだインターネットの世界は、ディストピアになっていくでしょう。
というわけで「彼はこうなることを予言していた」と言われたい、という記事でした。おしまい。
そんなわけで、あの手この手でインターネットのカスな部分を炙り出す「インターネット文化人類学」は2月9日(木)発売です。
ぜひ読んでいただいて、10年後20年後に「彼はこうなることを予言していた」と言ってください。
無断転載された上に「ステマ野郎!!」と罵倒された私の話を聞いてください。
お願いします。
無断転載された上に「ステマ野郎!!」と罵倒された私の話を聞いてください。
どこかに吐き出さないと狂ってしまいそうなんです…
■悲劇のはじまり
先日、私はこんな記事を書きました。
ヒモ専用のLINEスタンプを作ったので、そのスタンプだけで会話が成立している使用例があったら面白いんじゃないかと思って書いた記事です。
おかげさまで多くの方に読んでいただけ、それなりにウケたのでよかったよかったと思っていました。
しかしながら、ネット記事はたくさん拡散されると、「記事の一部分を画面キャプチャで拝借してリツイート数を稼ぐ窃盗団」が集まってきます。
※画像は一部加工してあります。
私が書いた記事も、もれなく窃盗団にきっちり無断転載されました。記事へのリンクや「ヒモックマ」といった表記は一切なく…
そして、Twitter上で話題になると、今度はそれを「まとめサイト」がさらに無断転載して、それをまたさらに誰かがTwitterで無断転載して……。
地獄の無限ループです……。
■そこにあるのは善意だと信じたかった
でも、いいんです。「面白い」と笑ってくれる人がひとりでも増えるのなら。
たぶん、そこに悪意はないんだと思います。
「こんな面白いものがあったよ!みんな、見て見て!」と、純粋に面白いものを友だちと分かち合いたいという『善意』しかそこにはないはずなんです。
「たとえ、自分が傷ついても、みんなが笑顔になるなら、それでいいじゃないか」と私は必死に自分自身に言いきかせました。
無断転載を肯定するわけではありません。でも、私はどうしても「優しい心」を否定したくなかったんです。
しかし、インターネットの悪魔はそれだけでは許してくれませんでした。
■見ず知らずの人に罵倒され続ける日々
無断転載されまくる過程で、予想外の出来事が起こります。
このLINEスタンプの使用例は「作者自身が作った」という説明が削られて、『実際にあったヒモ男と養い女のやり取りの画面キャプチャ』として広まっていったのです。
私が作った「フィクション」は、人から人へ伝達されながら「ノンフィクション」になってしまったのです。
その結果、私はネット上で、ボロクソに叩かれはじめました…
無断転載されただけでなく、ステマしてんじゃねえ死ねとまで罵倒されました…
誤解です! 私はただ、無断転載されただけなんです!
ステマって、ステルスマーケティングの略のはずです!
「PR目的のために作られたという事実を一切隠しておこなわれるマーケティング手法」のことだったはずです!
そんなこと私、していません! 神に誓います! 私はステマなんかしていないんです!
でも、誰も私の声には耳を傾けてはくれませんでした。
それどころか容姿まで「まんじゅうみたい」と馬鹿にされて……
私は一体どうすればよかったのでしょうか?
私はただみんなに笑ってもらいたかっただけなのに、そんなに悪いことをしてしまったのでしょうか…?
あまりの精神的ショックに、朝も夜もなく、私はしばらく泣いて過ごしました。
もしも、ステマだと怒っておられた方がこの記事を見ていたら、お詫びいたします。
私が作ったもののせいで、不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした…
どうか許してください……
でも……
これだけは……
言わせてください……
ブロガー=ステマの専門家って、
ステマかどうかの区別もつかないなら、
そんなわけで、ステマの意味を正しく理解していないのに「ステマだ!!ステマだ!!」と吠えたがるバカに送る専用LINEスタンプ「ステマんじゅう」を作りました!
ぜひ、みなさんのまわりの「バカのひとつ覚えみたいにステマだステマだ言ってるカス」に向けてご活用ください!
LINEクリエイターズスタンプで絶賛発売中!40個セットで120円です!
…というように、インターネットによくいるカス人間のことをボロクソに書いた本がこちらの「インターネット文化人類学」でございます。
彼らの生態系が学べる一冊になっておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
2017年2月9日(木)発売です。
「やったことないこと」をやったら、「やったことあること」になる。
あけましておめでとうございます、セブ山です。
年が明けて2週間経ってから新年の挨拶かよ、と思われるかもしれませんが、まあ、もともとそういうズボラな性格ですし、そもそも新年の挨拶をきっちり元旦とかに投稿しているヤツの方が信用ならねぇな、とも思うので、すみませんがご了承ください。
そんなわけで、本年もよろしく致します。
いろんな方やいろんなサイトが2016年を振り返るエントリーを年末に書いていたので、僕も書こうと思っていたんですが、年末年始は買ったまま読んでいなかった漫画を読んだり、録画していた年末の特番を消化したりしていて、結局、書かずじまいでした。
でも、別に年が明けてから書いてはいけないという決まりもないので、2016年の振り返りを2017年の今ごろにまとめたいと思います。
まとめると言っても、たいして仕事をしていないので、要点だけを手短に。
■やったことないことをやる
「今年の目標!!!!」みたいなテンションではなく、毎年、なんとなくボンヤリと一年間のテーマを決めていたりするんですが、去年のテーマは「やったことないことをやる」でした。
仕事でも遊びでも、とにかく、今までやったことないことをやろうと意識していました。
たとえば、8月に富士山に登ったのですが、これは自分の意志ではなく、友達に誘われて登りました。
「やったことないこと」がなぜやったことないのかというと、今まで自分が興味なかったり、そもそもそれをやるという発想が自分の中にないからやっていないわけで、やったことないことをやるためには、必然的に「誘われたら断らない」というのも大事になってくるわけです。
なので、「やったことないことをやる」のサブテーマとして「誘われたら断らない」というのも設定していたので「富士山、登らない?」と誘われた時は「うわー、嫌だなー」としか思わなかったのですが、自分ルールに則って、登ってきました。
やっと!!!!頂上に!!!!!着いた!!!! pic.twitter.com/YdYvaFZ4Bd
— セブ山 (@sebuyama) 2016年8月14日
結論からいうと、めちゃくちゃしんどかったし、もう二度と登りたくないと思いました。
また別の友達には「スペインの牛追い祭に行かない?」と誘われたので、こちらも「えー、今、全然お金ないのに…!」と思いながらも、自分ルールに則って、スペインまで牛に追われに行ってきました。
牛にメガネ踏まれてブッ壊れた!!!!!!!! pic.twitter.com/4n2M5NGJaY
— セブ山 (@sebuyama) 2016年7月7日
闘牛、近くで見るとマジで生きた心地がしないくらい怖かった。
他にも、仕事でいうと、ラジオ番組の裏方をやらせてもらったり、アニメーションに声を合わせるお仕事もやりました。
これらは一切、告知していません。なぜなら、やったことないからグダグダで恥ずかしいからです。
アニメーションに声を合わせるお仕事なんか、一生懸命、アニメっぽい声をしようとしているんですが、あきらかにセブ山の声なんですよね。つらい。
そんなふうに、やったことないことをやる一年を過ごしてみてわかったのですが、「やったことないこと」ってやったことないから、全然うまくいかないんですよね。
やったことないことって、全然、メリットない。
やったことないからうまくいかなくてイライラするし、やったことないから、もらえるギャラも少なかったり、やったことないから、勝手がわからずにミスを連発して怒られたりもするし。
マジで「やったことないこと」ってコスパ最悪なんですよね。
でも、やったことないことをやるのって、たったひとつだけメリットがあって、次からそれは「やったことあること」になる。
やったことあるからスムーズにできるし、やったことあるから能力に応じてギャラもくれるし、やったことあるからやったことない人が何がわからずにどんなミスをしてしまうか気持ちがわかるし。
富士登山も牛追い祭もボロクソ言いましたけど、でも、やっぱり面白かったし、新しい発見もあるわけで、「やったことないことをやる」っていうのは、なかなかいいなと思った一年でした。
■一番、やったことなかったこと
そんな一年の中で「やったことないこと」の最たるものが、書籍を書くということでした。
インターネットで記事を書かせてもらったことはたくさんあるのですが、紙の本を書くということはやったことがありませんでした。
正直いうと、ちょっと天狗になっていて、「いっぱいネット上で記事を書いてきたし、本を書くのなんか余裕っしょ? いっちょ、やってやりますか!」くらいのことを最初は思っていたのですが、全然、今まで培ってきたことは役に立たなくて、泣きながら書きました。
やっぱり、やったことないことって、マジでつらい。
そもそも、横書きの文章(ネット記事)と、縦書きの文章(書籍)が、こんなにもリズムが違うのかとビビりました。
不思議なもんで、横書きの文章を、そのまま縦書きに変えても、なんか違うんですよね…
そんなわけで、イチから苦労しまくって、ようやく完成したのがこちらの『インターネット文化人類学』という本です。
Twitterに投稿された1枚の写真から自宅を特定することはできるか ?
もしもネット炎上してしまったら日常生活にどんな影響が出るのか ?
どうして人はインターネットに悪口を書くのか?
などなど、インターネットを介して遭遇するヒトや出来事に対して、インタビューや実験・検証をおこない、人々がインターネットで織り成す「文化」について考察した一冊です。
自分でハッキリ言いますけど、めちゃくちゃ面白いのでぜひ読んでいただければと思います。
「お前のおもしろの基準は信用できん!!」という方も、ぜひ目次だけでも見て行ってください!
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■「インターネット文化人類学」の目次
第1章<ネットの闇>
・なぜ彼らはパクるのか? パクツイ常習犯が語るTwitterの闇
【編集後記】パクツイ常習犯が裏アカウントでつぶやいていたこと
・ネットに悪口を書き込むヤツらに反応することはいかに不毛な行為なのか
【編集後記】「ネットに悪口を書き込むやつら」は、なぜネットに悪口を書き込むのか?
・炎上したらどうなるか? ~経験者が語るネット炎上のメカニズム~
・LINE@の登場により世はまさに大「ファン抱き」時代へと突入!
【編集後記】正しいファンの抱き方・抱かれ方 ~ファン抱き情報から判明したファンに手を出すヤツの特徴~
・ある日、突然「ネタ画像」としてネットで拡散されるということ
第2章<知られざる生態>
・チャットレディ なぜ彼女たちはネットで裸を晒すのか?
・母親はどこまで息子のTwitterを監視しているのか?
・アイドルになる夢を潰された高校生は「ゴルスタ」を恨んでいるのか?
・本当にキラキラネームは低い文化圏から生まれるのか? 〜「きららちゃん」が語るキラキラネーム差別〜
【追加調査】本当に「きらら」は名付け辞典に載っているのか?
・どんな投稿でも必ず"いいね! " してくるヤツは一体どういうつもりなのか?
【編集後記】“いいね! "では現実の距離は縮まらない
第3章<ネット活用術>
・Twitterは「第三者目線」でツイートした方がウケることが判明
【編集後記】ガセネタは拡散されやすいが、ガセネタを訂正する情報は拡散されづらい理由
・女がメシをたかりに来るくらいLINEスタンプで儲ける方法
・ツイッター VS フェイスブック 本当にヤレるSNSはどっちだ?
・言葉の壁を越えて「世界」でウケる方法
コラム つぶやきだけで個人を特定できるのか?
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過去にネット上で発表した記事を多数収録していますが、どれも大幅に加筆したり、その記事を公開したあとにおこった出来事を編集後記という形で追加したりしているので、昔から僕の記事を読んでくださっている方も楽しんでいただける内容になっております!
このブログでは、そんな『インターネット文化人類学』の各章のあらすじや、書籍に入りきらなかった話なんかを書いていこうと思っています。
発売日は、2017年2月9日(木)ですが、全国的に書店に並ぶのはだいたい10日(金)らしいです!
どうぞみなさん、よろしくお願い致します! セブ山